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⑩嫁? 夫? 同居生活のはじまり

「いや、君をソファーで寝かせるわけにはいかない」  月夜は大きく首を振った。 「わたしなら平気だ。いつもこんな感じで寝てるし……」  これは嘘じゃない。  本当のことだ。  ――篠崎家にはテレビはリビングにある一台のみだ。  おかげでソファーで一夜を過ごすことはしばし。  それに……。  月夜をソファーで寝かすとか、ダメだろう。  だってそもそも、ここは葉桜家の別荘だ。  もし月夜に風邪をひかれたら、それこそ父親の嘉門さんに何を言われるかわかったもんじゃない。  そこで俺は、ハッとした。  まさか、これか?  これを狙って嘉門さんはわざと布団を用意しなかったのか?  嘉門さんならやりかねない。  だって俺が月夜の嫁としてうまく振る舞えるかどうかを試験的に見ているはずだ。 「…………」  他人の思い通りに動くのなんてすっげぇ(しゃく)。  嫌だけど――

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