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⑨嫁? 夫? 同居生活のはじまり

「…………」  さっぱり意味がわからない。  俺は無言のまま、ただ目の前にあるダブルベッドを見つめていた。 「部屋があっても布団がなくってはね……古くなったから全部捨ててしまって――。もっと早くに気付いていればよかったんだが――ごめん。 花音、俺はリビングのソファーで寝るから、君はここを使って」 「え?」  俺は月夜を見上げた。  彼は眉根を寄せ、口角を上げて苦笑している。 「いや、いいよ。お……じゃなかった。わたしがソファーで寝るから」  危うく、『俺』と言いかけ、急いで、『わたし』に言い直す。  すっげぇ違和感。  何か思われたかな。  ――なんて思って月夜を見れば……彼は別段気にしていないようだった。  どうやら彼は詰まった俺の言葉よりも話の内容の方が気にかかったらしい。

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