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⑭高校生活は前途多難!?
だって、月夜は俺よりも忙しい身の上なんだ。
月夜の双肩 には、でっかい、『華道家葉桜』としての名前が乗っかっているんだ。
俺のことばかりに、かまってはいれないだろう。
だから……。
「その代わり、掃除はできるから」
ぽつり。
そう言った後、視線をテーブルから月夜へと戻した。
そうしたら、月夜の目は大きく開かれていた。
そして――。
月夜は目を細めて微笑むんだ。
――トクンッ。
ああ、まただ。
また……俺の心臓が大きく跳ねた。
「とっ、とにかく!! 掃除はまかせてくれ!!」
月夜の笑顔をなぜか直視できなくなった俺は、早口でそう言うと、下ろした茶碗を再び手にして箸を動かした。
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