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⑲高校生活は前途多難!?
どうしていいのかわからなくなった俺は、わたわたしていると、たくさんある内の、ひとつの視線に気がついた。
気になる視線を辿れば……そこには月夜がいた。
彼は穏やかな笑みを浮かべて俺を見つめている。
『大丈夫だ』って、そう言っているみたいだ。
どうしてかな。
月夜の顔を見ていると、緊張のあまりあんなにドキドキしていた俺の心臓はいつの間にか戻っている。
すごく不思議だ。
「篠崎 花音です。よろしくお願いします」
「みんな、仲良くしてやってくれ」
俺はクラスメイトに一礼すると、先生は俺の簡単な自己紹介にひと言、付け加えた。
「さて、お前の席だが……向かって右側の窓辺の席だ。山本 沙耶 」
「はい」
先生が名前を呼ぶと、ツインテールの活発そうな女子が手を上げた。
顔は――かなり可愛い。
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