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⑪ライバルは突然牙をむく。
「……好き。俺、月夜のことが好き。性別を偽っていたのは本当だけど……月夜に話したことは嘘じゃない」
――5日前。月夜と初めてデートをした帰り道で言った俺の気持ち。
あれは偽りなんかじゃない。
月夜の支えになりたいと思ったことも――。
全部、本当なんだ。
「月夜が好き……それだけは……どうか信じて…………」
――どうか……どうか……。
この言葉だけは信じて。
これで最後にするから……。
「月夜が、気持ち悪いから消えろって言うのなら、俺、ちゃんと消えるから……。顔も見たくないのなら、もう二度と会わないって約束するから……」
「うそでしょう? 男の子同士なのに?」
「――っつ!!」
藤堂の言葉はまるで鋭いナイフだ。
俺の胸を突き刺してくる。
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