220 / 305

⑥優しい王子様との付き合い方。

「亜瑠兎……そうか、気持ち好かったのか」  俺のこっぱずかしい気持ちを聞いた月夜はつぶやいた。  そのつぶやきが静かな部屋に響く。  俺の言葉を聞いたことで月夜は安心したのか、俺の体に回した腕の力がほんの少し抜けた。  対する俺は、というと――。  もうムリ! 「……っつ!」  穴があったら入りたい。  恥ずかしすぎるだろ、これ!!  俺はあまりの恥ずかしさで、とうとう頭から毛布をすっぽり引っ被った。 「亜瑠兎?」  そんな俺の態度が不思議に思ったのか、月夜は尋ねてくる。  ――というか月夜。  なんでお前はいつもと変わらないの?  俺を抱いたっていうのに、なんでこんなに平然としていられるわけ?  余裕ないの、俺だけじゃん。  そう思うと、胸の辺りがモヤモヤしてくる。 「…………」  でも、そうなんだろうな。

ともだちにシェアしよう!