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⑤優しい王子様との付き合い方。

 俺は半ばヤケになって答えると、月夜は言った意味がわからないといったふうに、聞き返してくる。 「恥ずかしい? 俺に抱かれるのが嫌になったのではなくて?」 「……っつ!」  ……なんで。  どうして恥ずかしいセリフを何回も言わなきゃなんないの?  頼むから一度で理解してくれ!!  心の中で叫びながら、俺はふたたび口を開く。  恥ずかしい気持ちはもうとっくに限界を迎えている。  顔が熱い。  だからきっと俺は今、すごく真っ赤になっているに違いない。  照明が薄暗くてよかったと、内心そう思う。 「……イヤ、じゃない。月夜とは……その、抱かれるの、は……気持ち……よかった……から」  くっそ!  めちゃくちゃ恥ずかしい!!  頼むからもうこれ以上は何も()いてくれるなっ!  俺はいっそう体を丸めた。  背後にいる月夜に心の中で必死に訴える。

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