219 / 305
⑤優しい王子様との付き合い方。
俺は半ばヤケになって答えると、月夜は言った意味がわからないといったふうに、聞き返してくる。
「恥ずかしい? 俺に抱かれるのが嫌になったのではなくて?」
「……っつ!」
……なんで。
どうして恥ずかしいセリフを何回も言わなきゃなんないの?
頼むから一度で理解してくれ!!
心の中で叫びながら、俺はふたたび口を開く。
恥ずかしい気持ちはもうとっくに限界を迎えている。
顔が熱い。
だからきっと俺は今、すごく真っ赤になっているに違いない。
照明が薄暗くてよかったと、内心そう思う。
「……イヤ、じゃない。月夜とは……その、抱かれるの、は……気持ち……よかった……から」
くっそ!
めちゃくちゃ恥ずかしい!!
頼むからもうこれ以上は何も訊 いてくれるなっ!
俺はいっそう体を丸めた。
背後にいる月夜に心の中で必死に訴える。
ともだちにシェアしよう!