222 / 305

⑧優しい王子様との付き合い方。

 結局、俺ばかりが月夜を好きなんだ……。  どうしよう。  月夜と俺との想いの温度差が違うって思い知らされると悲しくなってくる。  ……涙、出そう。  さっきまで俺の中にあった熱がどこかへ行ってしまった。  胸のドキドキが、ズキズキに変わる。  目頭だって熱くなって、みるみるうちに視界が歪んでいく……。  口がへの字に曲がっていく。  だけど今は泣いちゃダメだ。  ややこしい奴だって思われる。  そうなったら最後、月夜は俺を見限るかもしれない。  やっと両想いになれたのに、ものの数時間で別れを告げられるのはとても悲しい。 「亜瑠兎? どうかした?」  俺の様子がおかしいことに気がついたらしい月夜は、毛布を引っ被った俺の顔を覗き込んでくる。

ともだちにシェアしよう!