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⑩『大嫌い』は大好きの裏返し。
呼吸が上手くできなくなる。
月夜から視線を外したい。
できれば今すぐに!!
だけど今目を逸らせば、俺が言ったこと全部が嘘だとバレてしまう。
そうすれば、優しい月夜は俺から離れない。
泣いている人間を放っておけるほど、月夜は冷たい人間じゃない。
それは俺にとって嬉しいことでも、それだと月夜がダメになる。
月夜には幸せになってほしい。
ずっと笑顔でいてほしいんだ。
だからどんなに胸が苦しくても、張り裂けそうに痛くても月夜と別れなきゃいけない。
視線を外しちゃいけないんだ。
「亜……」
「ああ、よかった。助かったよ。もう月夜が好きとか思ってもいない嘘、言わなくていいし。面倒くさい演技もしなくていい」
月夜の言葉を遮って、俺は大きく背伸びをした。
「演技……。では、俺を好きだと言ったことも、抱かれたことも、すべて演技だと?」
月夜の言葉が、痛いと悲鳴を上げている俺の胸をえぐる。
違う。
抱かれたのも月夜が好きだからだ。
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