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①ふたたびやって来ました月夜の実家。

 ◆第19話◆  緊張しないっていえば嘘になる。  だって俺は嘉門(かもん)さんとの約束を破った。  非難されるのも目に見えている。  そんな場面で女装していく俺はかなり間抜けだ。  ……すごく怒られそう。  これのせいで月夜(つきや)との仲を認められなかったら俺、どうしよう。  だけど今の俺には着てくる服はこういうものしかないし……。  まさか実家に行って、『バレちゃったから自分の服を取りに来た! てへぺろ』なんて父さんたちに言おうものならどんな騒ぎになるかわかったものじゃない。  それに――。  月夜にすべてを任せることなんて俺にはできない……。  やっぱり仕方、ないよな。  俺は大きくため息をつくと、昨日に続いて月夜の実家へと向かった。  ――気のせいかな。  月夜の実家に行く俺の足取りが軽い。  昨日と一緒で緊張感はある。  だけど足取りは、昨日よりずっといい。  なだらかな坂道を進み、静かな住宅街が建ち並ぶ。  間もなくして、住宅街の中でも一際目立つ、とても大きな一軒家が見えてきた。

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