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②ふたたびやって来ました月夜の実家。
「で……どうしよう……」
来るのは来た。
……俺。
これから、どうすればいいんだろう。
時刻は10時30分。
俺は立派な門構えをしたその豪邸の前で立ち往生していた。
昨日は嘉門さんと会う約束をしていたから、素直にインターホンを鳴らせたけれど、今日は面会の約束を取りつけていない。
追い返される可能性、大だ。
しかも極め付きはこの桃色のワンピース。
馬鹿にしてるとしか思わないだろう。
月夜と強制的に別れさせられたらどうしよう。
……あ、ダメ。
俺、ものすごく落ち込んできた。
自分の姿を見下ろし、しばらくの間ダメージをくらっていると……。
「あら? あなたは……亜瑠兎 ちゃんね?」
門前でぽつんと佇む俺の後ろ。
ふいに声をかけられた。
その声はとてもおっとりとしている女性のものだ。
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