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⑧あなたと俺の相愛数。

 嘉門さん?  びっくりして涙が溜まったその目を大きく瞬かせれば、これが最後だと言わんばかりに大粒の涙がポトリと落ちた。  ……えっと。  つまり、どういうこと?  嘉門さんは俺と月夜のことを許してくれたの?  何度も瞬きを繰り返す俺の隣では、早苗さんがクスクスと笑っている。 「……もう、ふたりとも頑固なんだから。おかしなところが似てしまったわ。亜瑠兎ちゃん、何か困ったことがあったら何でも言ってね。わたしは何があってもあなたの味方よ」  早苗さんはそう言うと手を伸ばし、月夜と嘉門さんの部屋を隔てた襖を開けた。  見えるのは……。  驚いた表情を見せている月夜と、眉間に深い皺を刻んでいる嘉門さんだ。 「許可をもらったよ、亜瑠兎」  月夜は微笑み、俺の方にやって来る。  だけど俺は……ダメ。  嬉しすぎて膝に力が入らない。

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