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第1話

あんた、村上九十九でしょ……? 顔中傷だらけの少年が自分を見上げている。九十九は短髪の黒髪を見下ろす。 不本意ながらも見上げる形になった少年の目はギラギラとして、友好的ではない雰囲気を察知する。 顔面が所々青紫になっており絆創膏だらけ。それに反して、首筋から覗く肌は透き通る様に白いのだとわかる。ぽってりとした唇の赤が白い肌に強調され、本来切れ長のであろう目は片方が眼帯で塞がれている。 見えている右目は獲物を狙う獣のような凶暴な目を自分に向けて、すぐにでも喉を食い千切りそうな勢いだった。 村上九十九は、ああ、惜しいな……と思った。 (女だったら口説いてたのに……) 気の強そうな目と勝気さが表情から滲み出ている少年の顔をじっと見つめ、二~三年後の少年がどんな風に育っていくのか楽しみだな、と紫の上を思う光源氏さながら、そんな事が頭をよぎった。 いい加減九十九の視線に居心地の悪さを感じた少年は、薄っすらと頬を朱色に染め目線を逸らした。

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