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立花理人 2

「オレが断ったらどうすんの?」 「……適当な相手を探しに行く。むちゃくちゃにされたい気分なんだ」 理人が断れば、理人の知らない赤の他人と関係をもたれてしまう。 壮太にはそんなことをしてほしくない。 だったら答えは一つだけだった。 「わかった、抱くよ。むちゃくちゃにしてほしいんだな?」 「うん、優しくしないでほしい」 壮太は失恋から鬱になり、自虐的になっている。 今優しくしてもきっと壮太には逆効果なのだろう。 ならば。 「じゃあ壮太、さっさと準備しろよ」 自分は冷酷な自分を演じよう。 壮太が満足いく、「酷い人間」になってやろう。 それが壮太の望みならば、できる限り叶えてあげよう。 理人はそう思った。 壮太のことをどう思っているのか自分では分からないけれど、放ってはおけなかった。 その時点で壮太の虜になっているのだろうが、この時は気付いていなかった。 「オレのを舐めるぐらい、造作ないだろ」 突然の理人の豹変ぶりに驚いたようで、だけど、それがかえって有り難かったらしく、壮太は何も言わず、理人の言う通りに行動しようと理人のズボンのチャックを下ろした。 イスから降りて床に膝立ちになり、理人のそれを引っ張り出すと迷うことなく口に含んだ。 壮太のフェラは絶妙に上手かった。 誰に仕込まれたのかは知らないが、その舌遣いに耐えられず、理人の男根はすぐに硬度を増した。声が出そうなのを必死で堪え、見た目には余裕があるように見せる。 なかなかに大変だった。 「全部飲めよ」 「んっ、んう……」 我ながら早漏だとは思うがそれを恥ずかしがっている場合ではない。 壮太の望む「酷い人間」になりきる必要があるのだから。 壮太の後頭部を手で抑え込み、男根を壮太の喉奥まで押し付けると、壮太は苦しそうな表情を浮かべた。 だけど、理人の指示通り全て飲み干し、口を離して上目遣いで理人を見る。 次の指示を待っているのだろう。 こういう経験がないわけではないが数は少ないため、理人は困ってしまった。 一体何をすれば正解なのか、理人には分からない。 普通のプレイならまだしも、こんな特殊なプレイだ、一生懸命頭をフル回転させるが知識不足のため何も思い浮かばなかった。 「壮太」 理人は壮太の頬に手を当てた。 「食事の後はなんて言うの?」 「……っ!」 壮太はかぁっと赤くなり、ぼそり、と何かを呟いた。 が、あまりにも小さすぎて何と言ったか聞き取れない。 片手で顎を掴み、顔を近付け、壮太の瞳をじっと見た。 「なんて言うの?」 「……美味しかったです、御馳走様でした」 「そう」 手を離すと、壮太は少し怯えた目をして、だけど頬は赤く染まっていた。 拒否はされていないようだ。 「で?お前はオレに後ろをほぐしてほしいって思ってんの?」 「そ、れは、」 「図々しくない?シたいのは壮太だろ?」 壮太は悲しそうな表情をして、だけど、こくん、と頷いて。 壮太は少し離れたところでズボンと下着を脱ぎ、四つん這いになった。 その光景が扇情的で、一度抜いたのに再び硬度を増し始めた。 「壮太、ケツをこっちに向けろ」 「えっ」 壮太は顔を赤らめ、理人を見る。 「お前の恥ずかしい所、全部見せろ」 「……」 壮太は無言で理人の言う通りに動いた。 始めは苦しそうに後孔を弄っていた壮太だが、徐々に拡張に慣れてきたらしく、甘い吐息を吐き出すようになってきた。 男同士でのセックスは初めてだ。 やはり、今壮太が懸命に解しているそこに突っ込むのだろう。 初めての経験で緊張するのと、知ったかぶりで過ごせるかというドキドキとが入り混じっていた。

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