1 / 23

第1話

「東郷泉(とうごういずみ)会長!今回の定期会議の事なんですが__」 俺の耳をつんざく委員会の誰だか知らないやつからの質問。 生徒会長、これがどれだけ荷が重く、ストレスの根元であるか、一般の生徒なら理解し得ないだろう。 しかし、ここの東高校という男子校を統べる俺は、学校を代表する身であるから、へまはできない。 定期会議の予定変更の件を耳にいれる傍ら、もうすぐ新入生と在校生の対面式があるため、その進行準備にペンを滑らせる。 来年で受験生となり「生徒会長」お役御免だが、あと一年も俺の体が持つかは定かではない。 そもそも、立候補せずとも勝手な投票で二年連続生徒会長とは、全く遺憾千万だ。 「泉、この日に定期会議を入れてくる。委員会のヤツにも伝達してくるな」 「ああ、ありがとう」俺はそう言いつつも、視線の先は下にある。 さっきの声のトーンが高すぎるヤツとかわって、落ち着いた声を出す生徒会三役の三船は、俺が片手間で接しているにも関わらず、すんなりと仕事を済ませてくれる。 右腕といっても過言ではない。 黒縁眼鏡をかけ直し、再度手元の進行の原稿を書き上げる。

ともだちにシェアしよう!