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ヌルヌル泡プレイ

風紀委員でもあるグリーンは、任務の為にバスルームを訪れた。 ここ三日、風呂に入ったきりなかなか出てこない二人組がいるとの噂を耳にしたからだ。 浴室内で一体何が行われているのか、グリーンはすぐにピンと来た。仕事終わりに、所構わずお互いの体を求め合ってしまうあのバカップル。 風紀を乱すものは例えどんな事情があろうとも指導するグリーンは、昼間に二人に指摘したが「そんなの知らないけど」とあっさりと否定されてしまった。ならば犯行現場を取り押さえてやろうと思い、バスルームを張っていたのだ。 他人のあれこれを覗き見る趣味は全く無いが、仕方ない、これも仕事の内。 しかし今日に限ってその二人は別々に入浴したようだった。 今後も二人の行動には要注意だなと心に留め、ちょうど風呂も空いたようだから自分も入ってしまおうと、仕事着のつなぎ服と下着を全て脱ぎ終えた時、ドアが開いた気配がしてそちらを振り向いた。 「あ……なんだ、いたのか」 「あ、オニキスさん……お疲れ様です」 咄嗟に、身体の中心をタオルで隠す。 漆黒の髪が艷めくオニキスに見下され、グリーンは顔から耳まで一気に熱くなる。 自分とは容姿も背も違いすぎる美しい彼とこんな場所で出会すだなんて初めての事で嬉しくて、胸がキュッと締め付けられた。 「悪い。また後で来る」 そう言って早々とドアを閉めようとした彼に、グリーンは矢継ぎ早に声を掛けた。 「あっ、いえ、俺は後で入ります!オニキスさんが先に入って下さい」 先程洗濯機の中に突っ込んだばかりのボクサーパンツを取り出して片足を上げている最中、思いもよらぬ言葉が返ってきた。 「一緒に入るか?」 「えっ?」 「その方が効率的だろ」 フラミンゴの体勢で固まったままのグリーンの返答は待たずにオニキスは扉を閉め、着ていた黒いTシャツを脱ぎ捨ててしまった。 (えっ、一緒に入るって……?!) 彼にくるりと背を向け、口を手で覆う。 願ってもない事だった。 オニキスとはこの間初めてまともに会話しただけで、それからは特に交流が無かったのだ。 グリーンはオニキスに密かに想いを寄せている。いつからこんな気持ちになったのかは分からない。親友のピンクがブラック司令塔と両想いだって分かってからかもしれない。自分もいつか、オニキスと恋人同士になりたい。そんな夢物語を、周りにはひた隠しにして毎日ここで暮らしているのだ。 「おい、はやく入れ」 「あ、は、はい」 オニキスに背中を押され、言われるがまま浴室内に足を踏み入れる。 浴室の壁に取り付けられた鏡に二人の姿が映り込むのを目の当たりにしたグリーンは、すぐにそこから視線を外し、シャワーを出してオニキスの体にかけた。 「あの、よろしければお背中流しましょうか」 「いいのか?じゃあ、頼む」 グリーンは床のタイルに膝立ちになり、ボディーソープを手に取って、バスチェアに座るオニキスの背中を撫でた。 その広い背中には新しい傷から古い傷まで痛々しく刻まれている。日々の仕事がどれだけ過酷なのかを物語っていた。 「オニキスさん、いつもこんな遅い時間にお風呂に入っているんですか?」 好きな人の背中に両手を滑らせていると、なんだか変な気分になってくる。 誤魔化すように、グリーンはオニキスに話しかけた。 「そうだな。だいたいこのくらいの時間だが。お前は今日どうしてこんなに遅いんだ?」 「風紀委員の仕事で……風呂場でいけない事をしている二人組を見つけて捕まえようと」 「はぁ?なんだそれ」 はは、と目尻を下げて笑うオニキスを鏡越しに見て、グリーンの心臓はますます早鐘を打つ。 (いつもはクールな顔してるくせに、そんな優しい顔も見せるだなんて反則だよ!) 「手が止まってるぞ」と指摘されたグリーンは、興奮した震える手でボディーソープの泡を付け足し、広い背中を何往復もさせながら、その二人の事を話した。 オニキスはもう一度笑って、鏡の中のグリーンに話しかける。 「お前偉いな。もう今日の任務は終わったっていうのに、時間外に張り込みしてるだなんて」 誉められたことに舞い上がって、グリーンはまた余計にボディーソープの泡を追加する。 「いえっ、全然!俺こんな事しかできなくて!オニキスさんに比べれば俺なんて全然っ」 「おい」 「本当、困っちゃいますよね。風呂場はそんな事をする場所じゃ無いのに」 「グリーン」 ふと名前を呼ばれて、顔を持ち上げた。 鼻の先が触れてしまいそうな距離にオニキスの顔があったから、驚いて体を後ろに引いた。 「あっ、な、なんでしょうか」 「泡出しすぎだ。勿体ないだろう」 言われてみれば確かに、オニキスの背中はこれでもかというほど泡まみれになっていた。 うろたえていて全然気付かなくて、オニキスを怒らせてしまったんじゃないかと心配になる。 「あっ、ご、ごめんなさい。一度洗い流して……」 「お前も洗ってやる」 オニキスは反対に向き直し、自分の背中から泡を手に取ってグリーンの体に塗りつけた。 右肩から胸に向かってぬるりとした手を這わせられたグリーンは、突然の刺激に思わず声を上げる。 「あっ!俺はっいいです!自分で洗います!」 「遠慮しなくていい」 オニキスの大きな掌が、グリーンの体を優しく撫でていく。 グリーンの右の乳首の上を指の腹がかすった瞬間、体の中をチリチリと電流が流れた。 唇をかんで眉根を寄せたグリーンの顔を、オニキスはジッと見つめている。 グリーンは、身体の中心に血液が集まっていくような感覚がやってきて焦った。 ダメだ。このままだと俺、この人の前で勃たせちゃう……! 「あっ、も、本当に大丈夫ですから。俺、やっぱり先に出ますね」 震える膝で体を支えて、シャワーヘッドに手を伸ばそうとした時、オニキスの手がグリーンの手を阻んだ。 「お前は可愛いな」 「……えっ、何がですか?」 「こんなになってるのに、出さないと苦しいだろう」 涙目のグリーンは、オニキスの視線の先に自分の股間がある事に気付く。 自分もそこを恐る恐る見ると、完全に勃ち上がっている自分のモノがあって、激しく狼狽した。 「これは違うんです」と言い訳しようとしたら、オニキスの泡まみれの手にそこをそっと触られて、やんわりと包み込まれた。 「あっ、あっ、だ、だめっ」 何がどうなっているのかわからない。 目の前にいる好きな人が、今自分のモノを上下にシゴいている。 しかもボディーソープのせいで、ぬるぬるとしてよく滑る。それが凄く気持ちよくて、恥ずかしい。 好きな人の目の前で射精するだなんて恥態を絶対に晒したくはない。 グリーンはオニキスの腕にしがみつくように懇願した。 「ダメです、本当に……こんな」 グリーンは泣きながら首を横に振った。 その間も、唇の隙間から喘ぐ声が浴室内に漏れてしまう。 自慰はあまりしない方だし、ましてや他人にここをシゴかれるだなんて初体験だ。 オニキスの手が動く度、パタパタと泡が床に落ちる。 先走りの液でないことを祈るばかりだった。 「我慢は体に毒だぞ。遠慮してないで、イくならイけ」 「そ、そんな!無理です……はずかし……っ」 「なら、一緒にイくか?」 「えっ……?」 瞼を持ち上げたグリーンの目に飛び込んで来たのは、こぶりな自分の倍はありそうな、オニキスのそそりたつ肉棒だった。 束の間、オニキスはグリーンの両脇の下に手を入れて体を軽々と持ち上げ、自身の太ももの上に座らせて、大きな手で二人分のモノを握りこんだ。 「あ……やっ、オニキスさんっ」 ――兜合わせ。 その体勢がどういうものかは知ってはいたけど、まさか自分がやるだなんて思ってなかった。 ぬるぬるしてこすれて、ふたりのモノが摩擦される。 じゅっ、じゅっ、と卑猥な音と、グリーンのしゃくり上げる声が浴室中に響いて耳を犯す。 気持ちよすぎて、オニキスの手の動きに加えて自らも腰を揺らしてしまう。 頭に靄がかかってきたグリーンは、震える手をオニキスの首の後ろに回した。 抱き締めると、お互いの乳首が触れ合って芯を持ち固くなってくる。やはり泡で滑って気持ちいい。 おでこを、オニキスの肩口にグリグリと擦り付けた。 「気持ちいいか?」 「あ、ふぁっ、あ、気持ちい……っ」 低音ボイスのオニキスに耳元で囁かれると、ますます体が悲鳴をあげる。 最後の追い上げが始まって、グリーンは手にぎゅっと力を込めた。 「俺も……」 オニキスはグリーンの首筋に唇をはわせ、一点を強く吸い上げた。 グリーンの体がビクビクとはね上がる。 ――もう、我慢できない。 「んぁっ、あっ、ダメッ、も……イくっ」 「――……」 泡だらけの二人は、ほぼ同時に白濁の液を飛ばした。 * * * 「俺、風紀委員失格ですよね……」 気怠い体を湯船に浸からせながら、膝の頭に顎をのせてグリーンはしょんぼりとする。 指導する立場にある人間なのに、あのバカップルと同じような事をしてしまった。もうあの二人には今後偉そうな事は何も言えない。 一緒に湯船に浸かるオニキスは、そんなグリーンを見てフッと軽く微笑むと、湯船のふちに肘をついて顔を手で支えた。 「まぁいいんじゃん。内緒にしておけば」 「え……オニキスさん、レンジャーの皆に内緒にしてくれるんですか?」 「わざわざ言う必要も無いだろ」 二人だけの、秘密な? そう言われているみたいで、なんだかとても嬉しくなった。 きっとこの事がバレたら、風紀委員なんてすぐに外される。この仕事にはやりがいを感じているし誇りも持っているから、出来るなら続けて行きたい。 オニキスさん、やっぱりいい人だ。 好きな人の前で泣いたり喘いだりしてしまって恥ずかしかったけど、凄く気持ちよかったし。 グリーンは気を取り直して、オニキスの手を取った。 「オニキスさん、ありがとうございます。俺がずっと自慰してないのに気付いて、抜いてくれたんですよね。ちょっと恥ずかしかったですけど、オニキスさんの思いやりの気持ち、ちゃんと伝わって来ました」 へへ、と笑うグリーンに、オニキスは目を白黒させる。 「もしかして、俺が義理でお前にあんな事したって思ってる?」 「え?俺が泡をいっぱい出しちゃったから、それを無駄にしないように手伝ってくれたんですよね?」 「……レンジャーの仲間として、気を遣ってやってくれてると思ったの?」 「はい。え?違うんですか?」 「……」 首を傾げるグリーンに、天然のこいつが自分の気持ちにちゃんと気付くには、まだまだ時間が掛かりそうだなと頭を抱えるオニキスであった。

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