「あ………！ん、っんぅー……っや、やだっ、やだっ逸ー……！」 あまりに淫猥な濡れきった音と、抗議はしながらも堪え切れない敬吾の喘ぎが部屋に満ちる。 羞恥と快感に敬吾の体は跳ねに跳ねるが、引き絞るように関節を封じる逸の手が離れることを許さなかった。 その絶望のような一方的な快感に、敬吾は縋るように逸の腿に顔を埋める。 それを観念と取ったか、逸が片手を腰から離してブラウスの胸元に手を差し入れると敬吾がまた鋭く肩を縮める。 淀みなくゆるゆると胸の先端を撫でられて、鼻にかかったような切ない声が漏れた。 （ーー逸の手………） こんな感触だっただろうか。 弾け合うような、溶け込むような。 抗える気がしない。 まともな思考も持てない。 淫らに昂りながらも子供のような心底安らかな気持ちで、敬吾は顔のすぐそばに脈打っている逸のそれに口付けた。 子猫のように舐め、吸われて逸はにやける。 愛撫にも熱が篭った。 激しく舐め、まさぐられて熱波のような快感と歓喜に敬吾は激しく達した。 弛緩して震える腰が、逸の喉元に落ちてくる。 それが耐えられない、とでも言うように敬吾は膝を立てようとするが無駄な努力であった。 逸はもはや嘲笑っているように見えるほど貪欲な顔をしていた。 まだ布を隔てたまま濡れるそこを撫でてやると、敬吾が悲痛に体を震わせる。 「あー……可愛い、敬吾さん今どこでイッちゃったの？ここ？」 「やっーー！」 「じゃあここ？こっち？」 「やっあ！っぁ………っやめ、やだっーー」 「ああもう可愛い………」 赤らんでひくつく蕾に逸が指を差し込む。 敬吾が半ば叫ぶような声を上げた。 「やだ、っ逸、ぃ……！ 」 ぐずつき始める敬吾の頼みを聞いてやり、指を抜いてまた口付けながら相変わらず逸は笑っていた。 「敬吾さん、こんな敏感になっちゃって………よくこれ我慢してましたね」 「…………………っ、」 ようやく治まり始めた快感の波を、逸の声が呼び水のようにまた揺り起こす。 泣き出しそうに眉根を寄せて敬吾は逸の腿に甘えるように頬を寄せた。 「……っ、だ、から……毎日は、つらい、………」 「ーーーーーー」 その言葉が妙にすとんと胸の中に落ちて、逸は赤黒い興奮を一時忘れぱたぱたと瞬いた。 ーーーそうか。 これだけ感じていれば、確かに負担は大きいか…………。 「そっか……………」 逸の返事も自分の言葉も聞こえていなかったのか敬吾は眠たげに逸の足に抱きついている。 微かに自責の念は感じつつ、やはり今日は我慢できそうもない。 「ーーごめんなさい。敬吾さんのこと好き過ぎますね、俺」 「ぅ……………？」 寝言のような敬吾の声に逸が噴き出す。 今日だけはそうして、何も分からないままにしていてもらおう。 醜い嗜虐愛と支配欲がやっと満たされると抱きしめたくなる。 自分の足に抱きついている敬吾が求めているのもまた、それと合致しているはずだった。 「敬吾さん」 「ぅんー……？」 返事が少々拗ねているように聞こえる。 「……入れていいですか？」 「…………………ん……」 ーーその短い承諾があまりに可愛らしく、そして隠しきれないほど嬉しげで。 逸は結局、またからかうように舐めて擦って辱めてしまい、最終的には即頭部に膝の一撃をもらったのだった。