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彼の好み

ーーーー調度品よりは、実用品だ。確実に。 かと言って身につけるものはーー あの人の好みは地味すぎて、あまりにも特別感に欠ける。 だけならまだしも、重いと思われる可能性もーー上を見れば切りがないカテゴリでもあることだしーー。 いや、手が届かないだとかではなく。 少々の無理なら全く構わないと思ってしまうことが問題なのだ。 高価であればあるだけ向こうはきっと眉をひそめる。 そういう人だ。 「どぉーーーーすっかなぁーーーーーー」 困り果てて悩みながらも、逸は楽しげににやついていた。

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