142 / 280
彼の好み
ーーーー調度品よりは、実用品だ。確実に。
かと言って身につけるものはーー
あの人の好みは地味すぎて、あまりにも特別感に欠ける。
だけならまだしも、重いと思われる可能性もーー上を見れば切りがないカテゴリでもあることだしーー。
いや、手が届かないだとかではなく。
少々の無理なら全く構わないと思ってしまうことが問題なのだ。
高価であればあるだけ向こうはきっと眉をひそめる。
そういう人だ。
「どぉーーーーすっかなぁーーーーーー」
困り果てて悩みながらも、逸は楽しげににやついていた。
ともだちにシェアしよう!