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彼の好み リベンジ 13

「さて、」 乾いた衣擦れの音がして敬吾が振り返ると、逸がシャツを脱いでいた。 既に手はバックルに掛かっている。 「はい?」 ぽかんとして自分を見ている敬吾に逸が首を傾げて問うと、敬吾は眠たい猫のように瞬きだけをした。 「ーーああ、先入る?」 やっとそう口にした敬吾は逸に笑われる。 「何を言ってんすか」 苦笑しながら逸が敬吾の髪を撫でる。 それだけのことになぜかびくついてしまい、敬吾は赤面した。 逸は構わず瞼に頬にと唇を寄せ、敬吾は固まる。 「一緒に入るんです、エロいことしながら」 「エロっ……………」 「当たり前でしょ…………」 その言葉尻が熱に霞んでいて、敬吾の背筋に震えが走った。 裾に逸の手が入り込み、そのままするすると撫で上げられる。 敬吾の足元に跪き鎖骨までそうしてニットを上げると、逸は敬吾を見上げて笑った。 ーー小生意気なその笑みが、脱げと言っている。 気がして捲り上げられた裾を受け取ると、逸はまた敬吾の腰を撫で、腹に口付けた。 前髪と睫毛に擽られて敬吾が背中を丸めると逸がすぐに掻き寄せる。 まだ呼吸が自分の制御下にあるうちに敬吾が逸を呼ぶと、そこを強く吸い上げて逸がやっと顔を離した。 「……お風呂行きましょっか」 「……………んぅ…………。」 「あははっ」

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