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アクティブレスト 24

「敬吾さん……、可愛い」 「……………っも、言うな馬鹿……………っ」 「だって………」 口に出さないと暴発してしまいそうだ。 敬吾は比較的理性を保っているのに、それがなんの意味もないほど体が溶け切ってしまっている。 熱くて、赤くて、弛緩していて震えていてーー これを全て、癒して満たしてあげなければ……。 ぞくぞくとせり上がる、悦びを伴った使命感のような興奮に顔がにやついてしまう。 「っ、んん…………」 軽く触れただけで仰け反る敬吾が愛おしくて仕方がない。 「……一度イキますか」 逸が優しく言うとまた引き攣る体が、期待していると言っているも同然だ。 既に泣き出しそうになっている顔に頬を寄せて口づけ、逸は中指で谷間をなぞる。 敬吾の呼吸が荒くなり、指先を埋めるとそれは悲痛に引き攣れた。 淀みなく飲み込ませていくと、いっそ嗚咽のように呼吸が乱れる。 苦しげに肩を押されて、逸は従順に唇を解放してやった。 「……敬吾さん?」 「や、……っ逸、だめ……」 「出ちゃいそう?」 敬吾は返事をしなかったが、潤んだ瞳と悲痛な表情が何よりも雄弁だ。 優しく髪を撫でながらも、逸は愛撫をやめない。 「いいんですよ、敬吾さん、昨日辛かったでしょ………」 「や、ぁ……逸っ、いち………だめ、」 「いっぱい気持ちよくなって」 「ん………ぁ、ん…………っ!!」 いつになく優しい逸の声が、まるで催眠術のようだった。 意地も羞恥も捨てさせられて、ただ素直に身を委ねたくなる。 激しくはないが突き抜けるような、充足感に溢れた快感が体を攫っていく。 救いのような開放感にも満ちた感覚は不思議に清涼だがやはり熱が引いてくると恥ずかしくて、敬吾は逸の腕に顔を隠した。 「可愛い………」 髪に口付けられ、またその羞恥を雪がれるような気持ちになった。 本当に、今日の逸は甘いし優しい。 しばらくまともに会っていなかった分、そして昨日半端に触れてしまった分、どこまでも浸ってしまいそうになるーー。 「んっ、んぅ………」 達したばかりの体を逸はまた掻き回すが、それも過ぎるようなことはしない。 敬吾が快感と捉えられる限界のところを縫うように指が蠢いて、辛いとは全く感じさせないーー だから、拒絶できない。 「気持ちいい……?」 意地も張れなかった。 素直に頷く敬吾を褒めるように額に口づけて、逸は指を増やす。 そうしながら唇が頬へ、首筋へと下りていき胸の膨らみを挟み込むと敬吾の体は大きく撓った。 ここだけは逃す気はないらしく、逸の指も唇もそれを追って快感を植え付ける。 「ん………逸ぃ、やだー……」 「………ん?うーん………」 すっかり固く膨らんだ乳首から口は離さないままに、逸は楽しげに笑った。 しばらくして顔を離す際にも強く舐めあげて敬吾を哭かせる。 「敬吾さんが嫌なことはしたくないですけど、……こんなにとろとろじゃ……」 「っなに、それー……」 「もう一回、指でイけそうでしょう?」 そう言うと逸は敬吾の左脚を大きく腹に押し付け、優しかった指をやや乱暴に動かした。 敬吾の背中が、ベッドから浮くほどに仰け反る。 「やーー……!逸っ、いちーー……!!」 「ほら……」 もう抗いようもなく、敬吾があられもない声を上げた。 それが痛々しいほど切迫し、大きく痙攣し始めたところで逸が指を止める。 「…………ね?」 あと少しのところで刺激を止められ、腰が抜けたように敬吾の体は弛緩した。 安心したのか落胆したのか、呆然としたような瞳からは無感情な涙が零れる。 「あーー……泣かないで敬吾さん、いじめたいわけじゃないんです」 「っ、違……、」 「うん、どうして欲しい?……」 優しく囁かれ、顔を寄せられて、敬吾は逸の首に腕を回した。 ーー繋がりたい。重なりたい。もっと深く。 それで、果てさせて欲しいーー 昨夜は大人のふりをして、飲み込んでしまったからーーー その思いが溢れて、涙が止まらない。 しゃくりあげるように震える言葉をどうにか絞り出そうとする敬吾を、逸はただ髪を撫でながら待っていた。 「逸の、……入れて……欲しい、」 「ん……………」 蕩けそうに微笑むと、逸は返事をするように唇を合わせた。

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