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襲来、そして 3
男二人に倒れ込まれて、ベッドが盛大に抗議の軋みを上げる。
逸は元より敬吾もそれを無視するが、苦笑はした。
「ちょ………、っがっつきすぎ」
ーーおかしなことを言う人だ。
だが苦笑混じりのそれが本心ではないと分かってもいて、逸は諌めるように顔を撫でる敬吾の手を掴まえ、指の関節に齧り付く。
骨に触れる硬い感触と薄い痛みに敬吾が目尻を窄めると、逸は笑った。
唇が離れるとその手が力を失い、逸と敬吾の間ではなく、纏める形で逸の背中に回る。
嬉しくて頬が緩むがそれすら飲み込むような激流が、ただ敬吾を掻き抱くことだけに没頭させた。
背中にある敬吾の手が握り込むように逸のシャツを引っ張り上げ、またその急流に竿するーーーが。
腹立たしいほど間延びしたチャイムがこだまする。
「嘘ぉ………」
(せっかくの!
敬吾さんの!!
お誘いが!!!)
敬吾の肩口に逸がぼすりと頭を落とすと、その後頭部がぽんぽんと叩かれた。
「……………いーよ、ほっとけ」
「!!!!」
逸ががばりと腕を立て、体を起こす。
「けーごさんっ…………!!!」
「ばっおま、声でけ………………」
敬吾が危惧したとおり、チャイムがまた生き返ったように連打された。
「うっ……」
「もーー………」
やや近所迷惑な気もするがーーこれも敬吾は無視してくれるだろうか。
そう思いながら謝罪するように逸が敬吾の首筋に唇を付けると、どうも見通しは明るいようだ。
小さく漏れた呼吸が嬉しい、が。
「けーごーーー、おーーい!いるんでしょーーー?」
「「嘘ぉ……………」」
今度は、二人揃って顔を覆ったーーー。
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