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襲来、そして 4
「やっぱいるじゃん!なんで早く出ないのよー」
「ーーいや、トイレ行ってた……つ、ぅか……なにそれ………………」
玄関先では、ぷりぷりと頬を膨らませている桜に敬吾が対峙していた。
その敬吾は呆然と顎を落としている。
ーーなぜなら、桜の腹がこんもりと膨れていたから。
「えっ!!?……………えっ!???」
「半年でーーす」
「はぁーーーーー………??」
一言たりとも聞いていない。
敬吾の驚きぶりを見て、桜は心底満足げに笑っていた。
これがしたくて訪ねてきたのだろうかと思うものの、敬吾の訝しげな目は桜の持っている大きな荷物を睨む。
「めでたい……けど……その荷物なに………?」
途端に、長く引き伸ばされていた桜の唇がきゅっと収束した。
全力で、不機嫌です!と主張している。
「マサと喧嘩した!しばらく泊めて!」
「………………。」
ーー頭痛がするようだ。
敬吾が額を押さえているうち、桜がまた楽しげに笑う。
「ねえねえいっちーは?呼ぼうよ!」
「……………ちょーーど遊びに来てますけど」
「えぇっ!?ちょっと何早く言ってよもうっ!」
言うなり桜は敬吾を押し退け、荷物も持たせて、妊婦とは思えない機敏さでリビングへと入っていった。
さて、逸のクールダウンは間に合ったのかどうか。
相当がっかりしていたようだから大丈夫だとは思うが。
さっそく暴風域になっている台風の目付近へと、とりあえずは敬吾も向かっていった。
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