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襲来、そして 5
バッグを置きながら敬吾が覗き見ると、逸の顔は思ったより明るかった。
「すげえー……!何ヶ月ですか!?」
「六ヶ月だよー」
「うわ……おめでとうございます……!!」
「えへへ、ありがとうー」
感激しているらしい逸の祝福に嬉しげに応えた後、桜はわざとらしくその笑顔をやさぐれさせた。
「これこれ、普通こうだよねぇ妊娠報告したときって………。やっぱいっちーはいい子だなー……」
無論それは敬吾に向けられている。
「そりゃ報告も普通だった場合だ」
突然大きなお腹で押しかけられ、借金の取り立てのようなことをされては、と敬吾は無言で桜を見返した。
「んで?泊まるってなんだよ。いつまでいる気だ」
「えっ、」
「ずっといる。」
「えぇっ!??」
やはりこれでもかと驚いている逸はとりあえず置いておき、敬吾はさらに冷たく桜を見る。
「ダメ。」
「ご飯とか洗濯とかやるよ!」
「間に合ってる。妊婦が家出なんかすんなって」
「家出……?」
「……正志さんと喧嘩したらしい」
「ありゃ……」
逸には心配そうに見つめられ、敬吾には窘められて桜は拗ねたように俯いた。
「……なんかあるとお腹張るんだもん」
「…………………」
「……お医者さんにも、ストレスのない環境にいて下さいって言われたもん〜……」
「…………………。」
こと妊娠出産となると、格段に発言力を失くすのが男の悲しいところであった………。
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