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襲来、そして 6
「いっちーこれもう焼けたよ!食べて食べて」
「えっ、いえいえ、敬吾さんも来てからーー」
「いいのいいの」
ーー桜の前で逸が食事を作るわけにも行かず。
夕飯は外で取ることにし、敬吾は飲み物をーー桜の分もーー取りに立っていた。
桜は当然、逸に食べさせたがる。
逸としては、本当に滞在するのか、正志と仲直りをする気は全く無いのかなど、聞いておきたいこともあるのだがそんな隙もない。
桜を邪険にする気は全く無いのだがーー今日あのまま敬吾を抱けていたらと思う落胆が、ちくちくと燻っていた。
そこへ敬吾が戻ってきて、少々飢餓感の見え隠れする視線を向けてしまう。
敬吾は実に上手にそれを無視した。
「……ほれ」
「ありがとー」
「あ、すいません敬吾さん、先に……」
「食え食え。姉貴の懐食いつぶしてやれ」
桜もそれに賛同し、その言葉通りにどんどん肉が追加される。
何度敬吾が正志との話に水を向けても、見事なまでに黙殺された。
さすが姉弟、なのだろうかーーと逸は泣き笑いをするが、敬吾がその話を出す度に嬉しくもなってしまう。
敬吾も少しは残念だと思ってくれているのだろうか。
その逸の心中が、弛んだ口元に出てしまっていてーー敬吾は少し、居た堪れない気持ちになっていた。
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