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襲来、そして 14

「ごちそう………さまでしたっ……!」 毎度のことながらぱんぱんになった腹を抱え、逸が手を合わせる。 これもまた毎度のことながら片付けをする、しないで若干揉め、結局桜に勝てない逸は、暇を口にした。 「いっちゃんたまには泊まってけばいいのにぃ」 「えっ!?」 桜の後ろからまた呆れきった視線で逸を睨めつけつつ、敬吾はため息をつく。 「どこに寝かせるんだよ」 桜の前で敬吾と寝るのはさすがにーーと自然と考えていた逸は一気に赤面した。 我ながら、いくらなんでも馬鹿過ぎる。 「あーそっかぁ」 残念そうに頬を膨らませる桜に苦笑で手を振り、逸は敬吾の部屋を後にした。 初日に宣言した通り家事を引き受けている桜を敬吾も手伝い、一段落すると「先にお風呂いい?」と手を拭き拭き桜が敬吾に尋ねる。 願ったり叶ったりだ。 頷きながら返事をして、桜が浴室に入っていきシャワーの音がし始めると、敬吾は早速携帯を起動させた。

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