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襲来、そして 19

「えっちょっ、え………っえーーーーーっマジですか!マジですかああああ!!!」 「だからうるせえって!!!」 「あぁっやばいお腹張った」 「おいおいおいおい」 「チョビもびっくりした模様子……」 桜はにやつきながらもお腹を撫でくり、しかし体を斜めにして腕にも体重を掛けた。 敬吾はただただ慌てふためいている。 「えっなに、……えーと飲み物とか意味ある?」 「えーっとどうだろ……じゃあお水ください……」 敬吾が持ってきた水を一口飲むと桜はそのまま最後まで飲み干し、また改めて新鮮に叫び直した。 「騒ぐなっつーの!腹が!こわい!!!」 「だって!だってええぇ!!」 「っもーーーー……!」 「えーっ、えーっ!いつから?いつからー!?」 「いつから………、前車返しに行った時は少なくとも……」 「あっお腹落ち着いてきた」 「聞けや」 大きく息を吐き出しながらそれでも桜は横になる。 本当に大丈夫なのかと敬吾は心配になるが、桜の瞳は発光しているのではと思うほど輝いていた。 「えぇーーそっか!そっかぁーー……!」 「おう………」 なぜそこまで喜ぶのか、敬吾としては全く分からない。 そんなに逸のことが好きなのだろうか。 それはそうだとしても、男なのに。 「……あっでも母さんとかには言うなよ!」 「はーい」 ーーだが、正志にはきっと話が通ってしまうのだろう。 もう、いいか………。 「あー、正志さんにもちゃんと謝っとけよ。気付かないうちに怒らせたかなって気にしてたぞ」 「うっ、はい」 やや萎れたものの、こうして変わらずしっかり者の敬吾が逸にはもしかしたら頼ることもあるのかもしれない、と思うと。 やはり桜の頬は緩む。 「……あたしいっちゃん大好きー」 「あー……」 だろうな。敬吾はげんなりと麦茶を飲み干して注ぎ、また飲み干した。 「なぜならいっちゃんが敬吾を大好きだからー」 「………………あー……?」 敬吾が疲れた顔を訝しげに歪め、横目に見ると桜は本当に花が咲いたように微笑んでいた。 「いやーん……嬉しー………、…………あっちょっと敬吾恋バナしよう!恋バナ!!」 「しねえよ!馬鹿か!」 「えー」 「まだ横なってるか?俺風呂入る……」 「あ、大丈夫先に髪乾かそうかな。……………」 「うん」 「………………」 「……?なに、起きれない?」 「いや、あのさ………」 「……?」 よじよじと起き上がりながら、スポットライトを浴びる悲劇のヒロインのように桜は敬吾を見上げて眉を下げる。 「………あたし、なんならくっつけようと思って来たんだけどさ」 「おう」 「……………」 「だろうな。なに」 「…………………もしかしてお邪魔だった?」 「……………」 「………………………………!!!!」 「……………………、  ……………………………まあ、うん」 「うわああああああごめーーーーーーん!!!!!」 「うーるーせーえって!!!!!」

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