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襲来、そして 18

「……いや、……好きだけどさどっちかっつーと……」 苦り切った顔で額を擦りながら、敬吾がそう言うと桜が少し飛び跳ねた。 ように見えるほど背筋を伸ばした。 僅かに頬を赤らめて、期待するように敬吾を見つめる。 ーーなんなんだよ、もう。 なんでそんなに嬉しそうなんだ、なんでそんなことを言い出すんだ。 いかにも姉です、という顔をして。 桜のくせに!と敬吾は苛立ちに任せて脳内に毒づき、詰まっていた息を吐き出した。 この姉が人の好き嫌いを決める基準は良く分からない。 大概の人間は好きらしいが、たまに嫌う人間は一般的に好感度の塊のように見えたりする。 敬吾の過去の恋人に気軽に「早くお嫁に来てねー」などと軽口叩くことも珍しくなかったが、こんな風に言われたことはなかった。 なぜそんなに、逸にこだわる? ーーだが、そういう人間が、ここまで姿勢を正して話し始めるともうこれは止まらない。 きちんと心に、脳に刻んでおきたい話なのだ。 …………たぶん。 また敬吾はため息をつく。 ーーもうごまかせないな。 ここまで真剣になっている姉のことも、逸の傍らにいる意味も。 「……つうか、付き合ってんだよ。結構前から」 「ぅええぇぇーーーー!!!」 「うるせえーーー!!」

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