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襲来、そして 26

「……………敬吾さん、」 「ぁ……………」 しばらくただ敬吾の髪を撫でていた逸が、ごく静かに敬吾を揺らす。 「………大丈夫ですか?」 「あっ、ん…………、ぅ」 敬吾はもう何も聞こえていないようだった。 まだ緩く逸に縋り付いて、湧き上がるような快感に巻かれて声を漏らしている。 素直に感じ入っている様子が可愛く、貴重で、逸は微笑むとその僥倖に浸ることにした。 また体を貼り合わせ、敬吾の肩口に顔を預けて腰を揺らす。 「んーー……!いち……っ、逸ぃ」 「ん………はい、」 背中に回った腕に力が籠もり、逸は僅かに強く打ち付け始めた。 弾むような敬吾の呼吸が、更に艶めいた声を引き出す。 「ぁ………っあ、っん……逸ー……」 「敬吾さん……、気持ちいい?………」 「ん……、きもちい………」 「!」 「んっ!」 また急に激しく、更に少し大きくなったように感じるそれは圧倒的な存在感で敬吾の中を抉った。 だがその重さも微かな痛みも、快感の一部としてしか存在しない。 悲痛に体を仰け反らせながらも滑らかに受け入れて、熱風のような、しかし優しい快楽に頭まで浸ってしまっていた。 「敬吾さん、可愛すぎる……」 淫らに溺れきっているのに敬吾の表情はまるで子供だ。 安心しきって、逸に全て預け、小さいが堪えることもなく声を零す。 無意識らしい様子で時折名前も呼ばれ、逸は早くもかなり際どいところにいた。 堪えきれずに敬吾の腰を引き落とし一度強く突き上げてそのまま奥を抉ると、敬吾が驚いたように鋭い喘ぎを上げる。 怒るでもなく、そのまま揺すられて震えながら感じ入っている敬吾を見るとーーもう。 「あー……、敬吾さん、ごめんなさい」 「んっ!……んん……!」 更に強く貫かれ、頭に響くほど深いところで逸が痙攣している。 破裂したような呼吸をする逸の頭を掻き抱き、ゆるく揺すられると、組み伏せ抱かれているのか、甘えられているのか甘えているのか、何も分からなくなった。 「逸…………」 「ーーっはい」 「……出た?」 「ふふ、はい」 「んー……」 眠たげにそう言うと、敬吾はなぜかよしよしと逸の頭を撫でる。 「……でも敬吾さん可愛すぎて、あんま縮んでないです」 それでも逸が掠れた声でそう言うと、弛緩していた敬吾の意識はまた覚醒した。 一挙に熱と快感を思い出し体を震わせた敬吾に逸はだらしなく笑う。 「……俺、今日ちょっと幸せすぎるなあ……」 「へ………」 そう言った唇が敬吾の唇を食み、その合間に何度も睦言と感謝を囁いた。 優しく礼儀正しいのに快感まで底上げするそれに、敬吾はさすがに眉根を寄せる。 「ーーっばか、もう……言うな」 「そんな」 逸は苦笑した。 「言わないと破裂しそうですよ」 「……そんなに?」 「はい」 「…………」 深く微笑んでくっきりと肯定されると、それ以上は何も言えない。 そこからは、特に際どいことはされていないのにその言葉とキスだけで鳴かされてしまうという、敬吾としては甘い拷問のような時間が、しばし続いた。

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