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襲来、そして 28
ーーやっと逸が揺するのをやめ、大きく息を吐き出すと滝のように汗が流れ落ちた。
限界を越えたところまで我慢を重ねた敬吾も同じ有様で、撫でると滑ってしまうほどだ。
だがその摩擦などひとつもない接触でも、敬吾は蕩けそうに身体を撓らせる。
「んゃ……!ばか触るな、………っ」
「す、すみません」
降伏するように諸手を上げ、逸は細心の注意を払いながら敬吾の隣に横たわった。
すると、今怒ったばかりの敬吾は向き合うように横を向いてその胸に抱きつく。
逸は嬉しげに笑い、やはりそっとそっと腕を回した。
「んーー……俺今日ちょっと幸せすぎるなあ………」
「ん………」
顔中に逸の唇が降りてきて、敬吾は一層赤くなる。
ーーなぜか熱が引かなかった。
それどころかそれは身体の奥から湧くばかりで、自分の手に負えない。
逸の甘さにすっかりあてられてしまったようだ。
むせ返りそうなそれに、胸が焼けたように感じるほど。
「逸……」
敬吾が小さく呼びかけると、逸は敬吾の前髪を掻き上げて額にキスをした。
「……シャワー、明日一緒に浴びましょーね……」
「ん、……ん?」
ーー逸の腕の中で敬吾ががばりと顔を上げると。
逸の目蓋がちょうど下りたところだった。
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