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襲来、そして 29
ーー3時間?下手をしたら2時間少ししか眠っていなかったらしい。
まだ深夜で通るようなこの時間に薄っすらとでも日が昇り始めていることに驚きながら敬吾は顔を擦った。
眠たいが……、それより敬吾を苛むのは眠る前消化し切れなかった熱だった。
いつもならば緩やかにでもすぐ引いていく興奮が、いつまでも纏わりついて離れない。
僅かにでも眠り、目を覚ましてもなお。
薄明かりの中に、眠る逸の影を見ただけで呼吸が上がる。
「逸………」
所在なく呼びかけてももちろん逸は起きない。
薄いタオルケットの上から軽く揺すっても、身じろぎ一つしなかった。
そうしているうち逸がころりと仰向けになる。
「……………っ」
そっとタオルを除けて肌を撫でると、逸が小さく呻いた。
眠たげなその響きが心を掻き立てる。
「逸ー、……起きろよ………」
返ってくるのは平和な寝息ばかりだった。
何度となく揺すり、呼んでも。
それがどうしようもなく悲しいのが何故なのか自分でも分からない。
少しでも慰められたくて逸の頬に唇を付け、首筋へ胸へと下りて舌で這う。
落ち着くどころか鼓動が激しくなるばかりだった。
下腹部が、胸の奥が、身体の芯が軋んで切ない。
(……なんでこんな……)
ーーいやらしい気分なのだろう。
逸はこんなに平和に眠っているのに。
泣きたくなってしまって逸の胸に顔を伏せるが、お構いなしに体は疼いていた。
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