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第1話

『我、幻の火竜也。我を味方にせし者、国の救済す』  それはこの竜の国の言い伝え。 「っひ、あっ!」  遠くの方では教会の鐘が鳴っている。  窓から差し込む夕陽の朱が天蓋付きのベッドで一糸も纏わない淫らなその姿を照らし出す。  弓なりに反れた陶器のような白をした柔肌を味わうその唇は常にへの字に曲がっている。  あんなに好きだった腰まである波打つブロンドの髪にはもう惹かれない。太陽神アポロンのように力強い容姿とサファイアの涼やかな双眸。威厳に満ちた鷲鼻。自分にはない男の色香を秘めた彼。  少なからずとも惹かれていたその容姿をした彼は今、悪魔にさえも思えてくる。  フィーユは忌々しい彼から目を逸らし、俯く。ここへ来る以前は平坦な胸の上にあるただの飾りにすぎなかった乳首は赤い蕾へと変貌を遂げ、ツンと尖って自らを主張している。剣胝(たこ)の骨張った指が強弱をつけて蕾を摘めば、その度に、全身へと微弱な電流が走り、甘い刺激が駆け抜ける。 「やっ、いや……」  助けを求めて両手を伸ばしても、そこに差し伸べてくれる手は何も無い。  後孔を楔に貫かれ、深い抽挿が幾度となく繰り返される。その度に張り詰めた性器は雫を垂らし、もっともっとと貪欲に欲する。凍てついた氷のような躰を溶かすように、接合された箇所からじんわり熱が宿る。  深く、浅く。  彼が肉壁を擦り、突き上げる度に卑猥で耳障りな肉塊の音が耳を刺激する。  無理矢理組み敷かれて苦しい筈なのに雫を流して喜ぶ性器。  自分はどうかしている。

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