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13.お仕置き⑷

「こんなに震えてしまって可哀想に。良い子にしていれば、こんなに恐がらせなくても済んだんですけどね。」 そんなことを言いながらも、ニヤニヤしているこいつは楽しそうで、本当に性格が悪い。 こんなやつに捕まって、逃げられなくて、何も出来ないなんて…。 もうこんなの嫌だ…。 そう心の中で言ったはずだったのに。 「嫌だ?どうしたのですか突然?」 そう言われて、いつの間にか声に出てしまっていたのだということに気付いた。 しまった!と思ってももう遅く、俺は誤魔化そうと必死になっていた。 「なっ、何でもない…。」 そう言った声は上擦っていて、バレるんじゃないかってヒヤヒヤした。 もしバレでもしたら、また変なことをされるんではないかと思ったから。 しかし、そこに触れられることはなかった。 何も言われなかったことに、ほっとしたのもつかの間。 「では、お仕置きを再開しましょうか。」 「………っ。」 「ふふっ、忘れたなんて言わせませんよ。お仕置きを増やされないだけましだと思ってくださいね。」 こう言われて俺は、こいつが手加減しているということを改めて気付かされた。 こいつには、誤魔化しなんて通用しないことも。 最初から分かっていたはずなのに。

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