6 / 6

その後の二人

 後世に残る記述によると、偉大な吸血鬼の王は、人狼の少年を唯一の后として、その生涯を終えた。  人狼の后が亡くなってからも、王は誰も娶ることは無かったと言う。  二人の間には、十二人の男女が生まれ、健やかに育ち、国を更に発展させていった。    そして、王が崩御した頃から、この国には不思議な噂が生まれた。  丸々とした体の小さな可愛い狼と蝙蝠の妖精が、時折現れては、小さなお手伝いをしてくれると言うのだ。  その姿は、かつて宮廷絵師が描いた、王と王妃の人化を解いた姿に良く似ていたと言う。  この国では、昔から囁かれている伝説があった。  強い絆を持つ魂は、精霊として生まれ変わり、愛する国をずっと守っていくのだ、と。  おしまい

ともだちにシェアしよう!