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その5 王妃な僕と吸血鬼の王
「辛くないか?」
式が終わった夜、僕は王の寝室でオスカーに抱かれていた。
軟膏で十分に解されたそこは、少し苦しいけれどオスカーのペニスを受け入れている。
オスカーは、優しい声で僕の汗で乱れた前髪を撫でながら、僕が落ち着くまで待って、ゆっくりと動き出す。
声が抑えられなくて思わず口を手で覆ったのを、咎めるような声と共にオスカーに外されてしまう。
「声が聴きたい」
真摯な眼差しで見つめられて、僕は頷いて笑った。
きっと、オスカーと出会わなければ、僕にはこんな幸せな未来なんて来なかっただろう。
簡単に人を好きになるなんてと、少し思った事もあったけれど、きっと恋愛ってそういうものなのだと今は思っている。
リッカルドの事を好きだった時は、彼の外見だけを見てかっこいいと思っただけだった。
けれど、オスカーに対する気持ちは全く違う。
だって、時には彼の言動が腹立たしい事もあるのに、少し時間がたてば、仕方ないなって許してあげたくなっちゃうんだ。
それに、オスカーはそう言う時、俺も悪かったって、必ず謝ってくれる。
リッカルドとの関係では、彼に傷つけられるのが怖かったけれど、オスカーとの関係では、彼を傷つけてしまうのが怖いんだ。
だって、意外にも優しくて繊細で、子供な人だから。
「好き……っ」
両手を伸ばして、しがみつく様にオスカーを抱き寄せると、オスカーもきつく抱きしめ返してくれた。
どんどん激しくなる動きに翻弄されながらも、僕は出来る限り、彼が気持ち良い様にと自分も腰を動かした。
経験値の無さが悲しいけれど、オスカーとだけするために一度も経験が無かったのだと思えば、とても幸福だと僕は思った。
「ジョン……!」
名前を呼ばれた後、深い口づけと共に、大きく突き上げられる。
同時、僕のペニスも射精していた。
それから、少しの時間をあけて、オスカーが低く色っぽい声で呻き、僕の最奥に射精したのを感じながら、僕は意識を失った。
「身体は大丈夫か?」
荒い息を吐きながら、気遣ってくれるオスカーの言葉で、僕は覚醒した。
それほど時間は立っていないかな?
「うん、だ、大丈夫……っ、あ」
下半身の違和感に、僕は思わずかすれた声を上げていた。
だって、まだ入っている……。
「すまない。その、まだ抜きたくなくて……」
申し訳なさそうなオスカーだったけれど、それでも抜かないんだから、良い性格をしていると思う。
オスカーは優しい事は優しいんだけど、やりたい事には忠実な我儘な男だと言うのはもう分かっている事だ。
まぁ、そこも可愛くて好きなんだけど。
「……もう一回する?」
だから、こうやって甘やかしてしまう。
勿論、普段はオスカーの方が僕を甘やかしてくれているけれど。
僕の言葉に、オスカーは満面の笑みで僕にキスをした。
「ああ、したい」
「うん、いいよ。来て?」
僕の中で大きくなるペニスも、愛おしくて、思わず秘所に力を入れると、気持ちよかったのか一層激しく突き上げられた。
「愛してる……! ジョン、お前だけが俺の妻だ。これから、ずっと」
王であるオスカーは、他の人を側妃にする事だってきっと出来る。
それに、人狼も、人間と言う種族と比べれば長寿だけれど、吸血鬼と比べれば寿命は短い。
おそらく、僕の方が先に逝ってしまうだろう。
だから、以前、彼を一人にしない為に僕は他の人を娶っても良いと言った。
でも、オスカーはその時に言った。
「お前が死んだら、俺は誰とも番う気はない。お前との間に出来る子が育つまで玉座を守り、子が巣立った後は、隠居して、お前との思い出を思い出しながら、余生を過ごす。そう決めたんだ。安心しろ、俺が一人の時間は意外と短い。俺はこう見えて、お前よりも数百歳は上なんだ。……すぐにお前の元に行けるさ」
そう言うオスカーの意志は固くて、僕はその気持ちを受け入れた。
オスカーの愛の言葉は、いつか僕が死んだとしても続いていくだろう。
彼から僕への愛の言葉は永遠に、尽きることは無い。
「うん、僕もあなただけを愛してる」
だから、僕も精一杯の気持ちを貴方に贈る。
偉大な吸血鬼王は、僕の最愛の旦那様だ、と。
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