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ゼロ

「おい、そこにいるのは誰だ!!」 約束通り5分が経過し、あの魔族のもとへ向かおうと足を動かしたときに低い声が向けられた。 誰?あぁ。俺のことか この時間帯にここにいるって、この人も俺と同じ遅れた人なのかな? 金髪に赤色に光るピアスを左耳につけている。 ………そういや、シンが『クラスメートには優しくしなさい』なんて言ってたっけ。 この人、多分俺と同じEクラスかもしれないから挨拶ぐらいしとこうかな。 かなり面倒だけど。 「……貴様、全部聞こえているぞ。」 「はじめまして?」 これでいいのかな。 人と話すのって難しい。だってほら、ただ挨拶しただけなのに、現れた金髪くんはなんだか怒っているようだし。 ……、あ。もしかしてこれが元の顔なのかな。そしたら俺失礼しちゃったな。 でもこれが元からの顔だったら、ちょっと……可哀想。 「初対面のくせに、いい度胸してるじゃねーか。」 ヒクヒクとどことなく青筋が浮き上がって地を這うような低い声でジリジリと俺に近づいてくる。 「おい、一年。貴様名を言え。この俺様にここまで無礼を働くなんて、覚悟はできてんだろうなァ?」 それにしても一々偉そうだね。君も俺と同じ一年のくせに。 あぁ、面倒な奴だな。帰りたい。 というか、え?この人自分のこと今『俺様』とか言った? 「…うわぁ…─」

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