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30-3 先にさせて、そしたら、俺にもして
「え……待て、ん……ッ!」
開いた俺の唇を塞ぎ、涼弥が濃厚なキスを開始。
ねっとりゆっくり舌の裏から横を舐め、口内をくまなく刺激する涼弥に。思惑を知りながらも、同じように攻め返す俺。
だって、気持ちいい……涼弥も気持ちよくしたい……。
けど。
勃ったペニスがだんだんつらくなってくのは事実で。
欲望に理性が負ければ、何をしてでも出したくなるのも道理で。
涼弥が俺をイカせたいっていうなら、それはそれで……。
いや。やっぱりよくない!
セックスするのと違うけど、何ていうか……キスより先に進む感じじゃん?
いっこ、なんかオーケーにしたら。なし崩し的にアレもコレもしていいことになるだろ、きっと。
「っふ……はぁ……涼弥……んっ、もう……やめ……」
「つらいか? 我慢……しなくていいぞ」
目を開けると、熱をもった涼弥の瞳が俺を見下ろしてる。
「お前をイカせたい」
再びそう言って。
視界から消えた涼弥の熱い舌先を、今度は顎の下に感じた。それは首を喉元から真下に移動して右側の耳の下へ。
「あっ……う……ひぁっ……」
皮膚をやさしく舐めながら動く涼弥の舌に。くすぐったくて身をよじろうとするも、覆い被さる涼弥がベッドについた両腕の中から逃れられない。
耳元から首筋、鎖骨に沿って涼弥の舌が這っていくと。くすぐったい中にゾクリと生まれる快感に声が出る。
「んっあッ……やっ……あッ……」
「感じるか?」
聞かれると恥ずかしい。
でも、今ごまかしても意味ないよね。この先もずっと、きっと何度も……こういうことするんだからさ。
「ん……ゾクゾクする」
「イキたいって言ってくれ」
まっすぐに俺を見つめたまま、涼弥がロンTの上から俺の身体を撫でる。腕から肩へ。胸から腹へ……。
手つきがエロい。いや。エロい気分で触ってるのわかってるけど。
涼弥が、積極的なのが……なんか意外っていうか……くる。
「お前は……? 勃ってないのか? つらくなんないの?」
「最初っから勃ってるが、つらくない。ずっとこのままでいられる」
え……マジ? 我慢してるんでなく?
「お前はつらいだろ。だから……」
涼弥の手が俺の脚の間に。内腿を撫で上がり、チノパンの上からペニスに触れる。
「や……触んな!」
精一杯の力で、股の間にある涼弥の右手を引っ張って離す。ヒビの入った肋骨を思い出し、力を緩めた。涼弥の手は、俺のペニスから離れたまま。
「嫌か? 硬かったぞ」
「しょうがないだろ! 勃ってんだから!」
「俺に触られるの、嫌か?」
ひとこと『俺に』ってつくと……嫌とは言えなくなる自分が嫌。
ハナから、触られるのが嫌なわけじゃないよ?
ただ……このままイカされて終わるのは嫌だ。
適度にイチャイチャ……したいのに。もう、適度がわからない俺。
自分の欲と涼弥、どっちもコントロール出来ない……。
ほしい気分を楽しもうにも。気分じゃ収まらないくらい、下半身に血流が集結してて。
血の足りない脳は……理性は勝負を捨て、本能の味方に転じた模様。
「何……する気だ?」
抜き合うくらいなら、なんとか許容範囲ってことにしてもいいか……と、聞いてみる。
「舐めて吸って扱く。お前のイク顔が見たい」
真顔で。普通に。フェラチオを生々しく説明……涼弥って……天然?
「それ……フェラ、俺もしていいのか? うわ……!?」
涼弥がいきなり上体を起こした。
「どうした?」
「ちょっと頭……おかしくなる。離れてろ……」
「は……!? 涼弥……?」
俺も頭を上げ、立ち上がろうとする涼弥の腕を引く。
「何だよいったい?」
「想像して、暴走しそうだ」
「何を……」
「お前が俺の……」
涼弥の顔が赤い……何故?
たった今、舐めるとか扱くとか平然と言ってたじゃん?
今さら照れるのか?
かわいいな……ヤバい。
俺がしたい! 涼弥を……イカせたい……!
「いいんだろ? 俺にしたいってこと、自分がされるのはダメってないよな?」
涼弥のベルトに手をかける。
遠慮はない。もともと涼弥の案だ。
「俺が先にフェラする。お前がイクとこ見せて」
「將梧 ……待て。俺は……」
「嫌なのか? 俺にされるの」
「そうじゃない……少し待ってくれ」
「何で?」
「一回抜いてくる」
はい……!?
一瞬、声が出せずに涼弥を見つめる。
「それじゃ意味ないじゃん。俺がやるって……」
「すぐイッたら、もったいないだろ」
何その発想……!
俺がいるのに自分で抜くほうがもったいなくないか?
「バカ言ってんな。またあとで出来るから」
「いや。マジで……今はマズい」
「すぐイッていいよ」
本気で焦る涼弥に、微笑んだ。ほんのり悪い顔になってるかもしれない。
「先にさせて。そしたら、俺にもして」
涼弥が眉を寄せて口を開く。
「將梧。お前、それ……」
「ベッドに腰かけろよ」
「いや、待て。先にシャワーでも……」
「ダメだ。抜く気だろ」
うっとなる涼弥にほくそ笑む。
「嫌なら無理にしないって。どうする?」
無言は肯定。
その証拠に、立って涼弥の腕を引くと、ためらいながらも腰を上げた。そのままベッドに座らせる。
そして。
もう一度、瞳で涼弥の意思を確認した。
欲望に勝てない自分を責めるなよ?
今は勝てなくてもいい……!
涼弥の足元に膝をつき、ベルトを外してカーゴパンツのチャックを下ろし。ボクサー越しでも十分わかるほど立派に勃起した涼弥のペニスに手を伸ばした。
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