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第1話 イイ雰囲気
ここ最近、不安定な天気が続いていた。
昨日は一日中雨だったし、今日はどんよりした曇り空だ。
鬱陶しく湿っております。
まぁそ〜んなジメった放課後ですが?
あはは……只今俺たちイイ雰囲気なんすよね!
「えーウソだぁーー」
「ンなことないよ、本当本当」
「だってあたし緒川くんと喋ったことないよ〜」
「えーマジで?あいつさきちゃん見かける度、さきちゃんマジ可愛い〜!って言ってるぜ。絶対好きだって」
「ウソー!そうなのー?」
「緒川いい奴だからさぁ、今度声かけてやりなよ」
「うん、わかったぁ」
「よろしく〜」
「でもあたしぃ……他に気になる奴いるし」
「へーそうなんだ」
「うん。あのさ哲嗣 くんは気になるっていうか、好きな子っていないの?」
「えー俺ー?」
「うん!哲嗣くん女子に人気あるから、その辺皆知りたがってるよ。今、彼女……いないんでしょ?」
「あーまぁね、そうだけど。気になる子はまぁ……いるんだけどさ」
「そうなの?うちの学校の子!?」
「えーさて誰かなぁ〜。ね、誰だと思う?」
「わかんないよー!やだぁ〜教えてよー!」
「だってさきちゃん教えてくれないじゃ〜ん!さきちゃんはさ、誰が気になってるの?」
「え……」
「だぁれ?」
「……」
「……」
「え、えと……あの……それは……」
「はは、さきちゃん顔真っ赤……可愛い〜」
「え」
「可愛いから、このまま……キス、しちゃいたくなる……」
「ひゃ」
「……そんな顔されたらさ、男は期待しちゃうじゃん?俺のこと……好きなのかなぁって」
「ウソっ!あたしそんな顔してる?」
「し て る」
「……だって哲嗣くん……カッコイイし優しいし……」
「……うん」
「……いいなぁって……思ってる……よ」
「そっか……ありがとう。嬉しい」
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