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第34話 モブな俺ら 2
「間宮の奴、つい最近彼女と別れたみたいですよ。元カノに強烈ビンタされて結構大変だったみたいです」
「……うへー!いいきみ!え、何じゃぁ、まさか、塩崎一筋になったってこと?」
「見た感じそうみたいだな。なんて言うか間宮の態度が今までと違う気がする。薫君に対してに対して優しくなったというか柔らかくなったみたいな?」
「ふふ……毎日観察してると分かるもんだよな。お互いの距離が更に近くなった感じがする!これはきたな!ついに二人の間にラブがきたな!」
「……お前ら、凄いを通り越してヤバいわ。そんな微妙な変化わかるか!何喜んでんだよ!」
「それが分かるんだよねー!まぁ何とでも言うがいいさ。毎日の校内での薫君チェックは俺たちの日課になっているし、薫君が幸せならそれでいいんだ」
そう、今や俺たちは遠くから見守るだけしかできないチキンな存在だけど、薫君愛は誰にも負けない自信があるのだ。
彼が間宮しか見えていないのは一目瞭然だ。しかしそれは俺たちだから分かることであって、他の奴らはそんなこと気にもとめてないだろう。
無表情な彼の間宮に対する執着は相当なものだけど、それが当たり前なのだろう。
腕を組んだり、くっついてみたりして、全てが自然。
……そこが可愛いし薫君の魅力なんだ。
たらしの間宮め!!女を取っかえ引っ変えして、何てダラしない奴なんだ!
ってはじめは凄い嫉妬したけれど、俺らがあの間宮のポジションを奪える訳もなく、勿論適わない相手な訳で……
そしてそんなイケメン間宮に微かに憧れを持っていると自覚してからは、薫君にフラれたこともあってか、不思議と二人の関係を冷静に見ることができるようになったのだ。
大人になったよなぁ。
俺たち偉いよな。
だって、眼鏡かけてても普通にモテる男に適うわけないし現にカッコイイし。
薫君大好きみたいだし。
幸せになって欲しい。その気持ちでいっぱいなんだ。
だから俺たちは今日も明日も明後日もアイツら二人を遠くから見守るのだった。
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