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辿り着くまでに裸に剥かれた身体がベッドに沈む。 青町のシャツも剥ぎとって放ると、文字通り食らい尽くすようなキスをしながら、汗ばんだ肌を撫でられた。 熱い手が鎖骨をなぞり、胸元を這いまわりながら徐々に下へと降りていく。腰骨のあたりを強くさすられると大袈裟なほど身体が跳ねた。 無理だ。無理。 気持ちいい。 青町に触れられている、その事実にしか俺はもう、気持ちよくなれないんだと悟った。 首筋や耳の後ろ、弱いところばかり唇と舌で嬲られて、バカみたいに喘ぐ声が止まらない。 「レキ君に触られて、俺が我慢できるはずないやん……わかってよ」 耳元でそんなことを呟く青町は、ガチガチになった股間をずっと俺の腿に押しつけている。余裕のなさは似たようなもので、もはや恥ずかしさもなかった。 青町が俺に触れる。まるで自分のもんみたいに。 好き勝手に全身撫でまわして、膝を割って間に入ってくる。そうするのが当然みたいに。 ふざけんな、調子乗ってんじゃねーぞ。 俺がお前のなんじゃねー、お前が俺のもんなんだよ。 間違えんな。 喘ぎながら切れ切れに言うと、青町はちょっと困ったように笑った。 「そういうとこ、めんどくさいしクソ生意気やのに、可愛くてしゃーないねんな……ほんま、何でなんやろなあ……」 青町の手が伸びた先にある俺のも、まあ負けず劣らずガチガチで。ほとんど一撫でで呆気なく弾けた。 早さを揶揄するどころか青町は「あかん、俺も入れた瞬間に出そう」と唸りながら後孔に指を突っ込んでくる。 性急な動きで慣らされて、先端を当てがわれたとき、またどうしようもない涙が勝手に溢れた。 「そんな泣かれたらレイプみたいやんか」と頬を撫でてきながらも、身体のほうは容赦なく腰を進めてくる。引きつるような痛みが走るが、止める気にはならない。 青町の熱に暴かれることに陶酔すら覚えた。 痛みも束の間で、青町とだけ回数を重ねてきた身体は、数ヶ月ぶりでもその形をちゃんとわかっていて。すぐに快楽の波に飲み込まれる。 「いっつも布団でエッチしとったやんか」 指と指が絡められる。見上げる青町はこめかみから薄っすら汗を滴らせ、眩しいものを見るように目を細めていた。 「ベッドってやらしいな、ぎしぎしゆーて」 強く押し込まれて交わりが深くなる。熱い息を漏らしながら唇を寄せられて、溺れそうになりながら応えた。 青町のせいで、軋むベッドの音がやたら耳につく。ひとに言えないことをしている気分になって中が疼いた。 「俺な、レキ君がおらんと」 大きな動きで奥までの抽送を繰り返しながら、青町が言う。 荒い息遣いとケモノじみた目の奥に、迷子の子供みたいな表情がちらつく。 「寝坊するんやないかって、毎日不安やねん」 脚を抱えあげられて角度が変わると、弱いところにピンポイントで当たるようになって、俺は悶えながら青町の腕に爪を立てた。性感を知り尽くされているのがムカつく。でも嫌ではない。 「レキ君は? どう?」 そこきもちいい、と答えたら「それはよかった。けどそっちやなくてな?」と言いつつ同じところを何度も抉られた。 声にならない悲鳴。仰け反って無防備な首をまた噛まれる。自分の中がひくついて青町を悦ばせているのがわかる。 「レキ君もさあ」 余裕なんかないくせに、いつになく良く喋る。収録中もそんくらい喋れあほ。俺がなんにも言えないこんなときばっかり饒舌になりやがって。しね。 涙でぐずぐずの視界に青町を映したら、青町もなんだか泣き出しそうな顔で笑っていた。 「俺おったほうがええんちゃうの」 疑問形で言っておきながら、返事なんて待たずに青町は俺の身体をひっくり返した。ぺったりと俯せて、膝を立てることすら許されずに、後ろから強く突き上げられる。 あまりの衝撃に視界が白くなり、背中に降ってくる青町の汗の粒に、イきそうになって。 今にもぶっ飛びそうな理性の狭間、青町だけが俺の世界になる。 「なあ、レキ君」 うるせえ。うるせえ。うるせえ。 もっと呼べ。 クソ青町。 アラーム音を響かせる携帯に手を伸ばす。 湿ったシーツの感触に眉を顰め、目を開くと間近にあった青町の寝顔に、ぼんやりと見入る。 夢じゃなかった。 空が白むまで貪りあって、気絶同然にそのまま寝落ちた。 入り時間を聞いたらすぐにアラームをかける習慣があってよかったと心から思う。コンビ揃って遅刻なんて無様は回避できた。 寝たのはたぶん、せいぜい二時間かそこらだろう。 その割に頭はとてもすっきりしていた。 身体のほうは、腰と股関節が痛むので何とも言い難いが。数ヶ月ぶりに深く眠れた、ような気がする。 男二人にシングルベッドは狭いが、湿気た布団よりはいくらかマシな寝心地だった。 間抜け面を晒して、未だ目覚める気配もない青町を、俺は今から引っ叩いて起こすわけだが。 一言めは何と言おうか。それが決まるまで、もう少しだけは寝かせておいてやろうと思う。 了

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