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第18話「これから」

「おはようございます!」 俺はそう言ってロッカー室に入る。 「おう、清。おはよ……って、昨日まであんなにしょげてたのに、やけに元気だな。もう立ち直ったのか?」 先輩が少し呆れたように俺を見てそう言った。 「いや〜それが色々ありまして……」 昨日の康臣との甘い時間を思い出して、顔がニヤニヤしてくる。 結局あの後、康臣の声が枯れるまでやりまくった。久しぶりというのもあって中々止まれず体力のある限り何度もしてしまった。 改めて好きだと自覚した途端、愛おしさが勝って何度やっても自分でも驚くぐらい復活してしまった。 「うわ、ニヤニヤ顔が気持ち悪い。なんだよ、何があったんだ?」 「実は、この間相談した子と本気で付き合うことになったんですよ」 「ええ?上手くいったのか?」 「改めて、真剣に考えて。やっぱり好きだって思ったから。正直に謝って告白しました。相手も許してくれて、もうラブラブっす」 自分でもわかるくらい、頬がだらしなく緩んでいるのがわかる。 今日も朝、名残惜しくて中々部屋を出られず。玄関先で何度もキスをしていたせいで、もう少しで遅刻するところだった。 「良かったじゃん。じゃあ昨日はお楽しみだったってわけか」 「そうなんすよ。相手もノリノリで寝かしてくれなくて……」 康臣は今までで一番いやらしくて可愛くて、何度もしてとお願いしてくるから、食事もとるのを忘れて励んでしまった。 正直、今日は腰がだるい。でも幸せすぎてどうでもいいとさえ思う。今すぐ家に帰って康臣ともう一度ヤりたい。 「おお……健気な上にエロいとかいい彼女だな。羨ましい……」 先輩は感心したようにそう言って「俺も彼女欲しい……」と愚痴り始めた。 俺は苦笑しつつ制服に着替えると、気合いを入れ直して仕事に向かうとした。 「……あ、そうだ」 俺は思い出して、荷物から少し高めのお菓子を取り出す。 「うん?なんだ?」 「オペレーターさんにと思って……かなり怒ってたから……相談にも乗ってもらったし……お礼というか、これでご機嫌がとれないかと思って……」 あの時オペレーターのお姉さんはかなりご立腹だった。 このままだと今後の仕事にも影響をが出かねない、だからと苦肉の策として持ってきたのだ。 先輩は苦笑して慰めるように言った。 「まあ、渡すだけ渡して見ればいいんじゃねえか?ついでに上手くいったって報告すればきっと大丈夫だよ」 「ああ、そうっすね。とりあえず帰りにでも話て渡してみます。……あ、先輩にもお世話になったんで一つどうぞ」 俺はそう言ってお菓子を一つ取り出し先輩に渡す、先輩には最初っからお世話になりっぱなしで、これぐらいじゃお礼としては少なすぎるが。 「おう、ありがとう」 「じゃ、俺行きますね」 そう言って俺は今度こそ、仕事に向かう。 「おー。頑張れよ」 「……あ、そうだ。ちなみにできたのは彼女じゃなくて彼氏なんですよ」 「おう……え?今何て言った?おい!」 俺は元気いっぱいで、いつものように自分のトラックに向かう。 帰ったら康臣に一緒に住もうと提案してみようと思った、それを想像しただけでまた顔がにやける。 二人で折半すれば広めの部屋を借りれるだろう、そうしたらキングサイズのベッドを買おう。 そうすれば色々楽しめる。さらに顔がにやけるのを自覚して、流石に表情を引き締める。お客さんに変に思われてしまう。 ——康臣にもう会いたくないと言われた後、あんなに悩んでいたくせに覚悟を決めたら想像以上に楽になった。 康臣といられるなら、なんでもできる気がしてくる。 だからこの結果には後悔してない。 今日もいい天気だ。 俺は康臣の顔を思い出し、こみ上げる愛おしさを胸に仕事に向かった。 おわり 「お届け物です」を読んでいただき、ありがとうございました。 あとがきのようなものをアトリエブログの2019.5.28に載せてます。興味があれば読んでやって下さい。 *この物語はフィクションであり実際の人物・団体とは一切関係ありません。

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