6 / 60
1ー5
いや、だからといって晃が速水を好きになるとは絶対、思わない。
脅されているし…第一、晃はノーマルだ。
だが。
速水が晃を気に入るかもしれない。
男の俺から見ても、晃は綺麗な顔をしているし。
その点、俺なら大丈夫。
平凡顔だし、まるっと全般的に普通だから。
気に入られる要素は限りなくゼロに近い…というか、ゼロだ。
ただ…そうは言っても、独りであの速水に会いに行くのはやっぱり恐い。
噂では色々聞くけど、実際に会うのは初めてだ。
悪い噂しか聞かない速水に会うというだけで足が震える。
しかし、晃を助ける為だ。
晃は俺が助ける。
だって晃は俺の初恋で、憧れだから。
幼い頃、初めて晃と出会った時、あまりの可愛さに女の子と思い込み、一目惚れをしてしまった。
そして、俺がこの子を守ると強く心に誓った。
しかしその後、晃が男の子である事を知り、あえなく失恋。
だが、それからも友人として晃の近くに居続けた。
要領がいい俺とは違い、晃は努力家だ。
先生や親の期待に応え、勉強もスポーツも陰で努力している事を俺は知っている。
そんな晃を脅して金を取ろうなんて…。
絶対、許せない。
晃を助ける。
速水に一発や二発、殴られる覚悟はできている。
……………………………………………………。
…………………………。
……………。
ともだちにシェアしよう!