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背中から呼びかけられた声に恐る恐る振り向くと晃だった。
「…昨日、大丈夫だった?」
晃は心配そうな顔をして俺に聞いてくる。
「…うん…」
俺は俯いて、それに答える。
晃の顔が見れない。
するとふいに晃の手が俺の口元に伸びてきた。
「ここ…切れている…もしかして、殴られた?」
晃の悲しそうな声に、俺は慌てた。
「…これは…違う。これは自分で転んで、顔を打ったんだ。速水には殴られてないから」
自分でも白々しいと思いながらも、咄嗟に思い付いた嘘はそれしかなくて。
「…ごめん…やっぱり、僕が行けばよかったね…」
晃の悲しそうな顔に、ますます俺は慌てる。
「違う!これは本当に転けた時の傷なんだ。速水に殴られて付いた傷じゃない。だから、晃が俺に謝る必要なんてないんだ」
話題を俺の顔の傷から逸らそうと、話題を変える。
「それより、速水とは話がついたから。もう晃が脅される事はないよ。だから、大丈夫。安心して」
俺の言葉に、晃は吃驚した顔をしている。
「…嘘…」
信じられないという顔をして、俺を見る。
「本当だって。だから、もう大丈夫」
納得していない顔で何か言いかけた晃に気付かない振りをして、俺は話を切り上げた。
俺は心に決めていた。
綺麗な晃は俺の聖域なんだ。
汚させない。
晃を守る為。
その為なら、俺は何でもしようと………。
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