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速水はナイフを両手に持ち、震えている俺に近付くと片手を伸ばして俺の両手首を力を込めて掴んだ。 「…う…く…っ」 その痛さに俺の手が緩み、握っていたナイフが滑り落ちる。 用具室の中、俺の手から滑り落ちたナイフの音が響く。 速水は左手で俺の両手首を掴み、右手で俺のズボンのベルトを外し始める。 速水の目に見詰められ、俺の身体は恐怖の為に強張り、動かない。 その間に速水は俺のズボンと下着を手際よく脱がしていく。 地面に倒されかける直前、ようやく俺の身体が動き、声を出す事ができた。 「…や…止めろ!!」 叫ぶと、昨日の比じゃない衝撃が俺の左頬に走り、俺は地面に倒れた。 目の前に星が見え、一瞬意識を失いかけた。 だが、意識を失っている場合じゃない。 早くこの場所から逃げないと…。 速水の元から逃げる事ばかりを考えていた俺は、四つん這いになり、這って出口を目指した。 速水に叩かれ、頭がクラクラしていた俺は、走って逃げれなかったのだ。 この時の俺は、自分の下半身が裸ということにも気が付かない程、速水から逃げることで頭がいっぱいだった。 俺のその姿を見て、速水が笑っていることにも気付かないほど、俺は必死だった。 もう少しで扉に手が届く…というところで、俺は速水に両足首を掴まれ、大きく広げられたまま、引きずられる。 「…ああ…っ!?…離せ!!…離せ~~~!!」

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