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3ー2

「戻れ。手続きはしといてやる」 シャツの釦を留めながら、おれは全裸のまま床に倒れている由貴に振り返らず告げる。 「……………い、やだ」 由貴の口から、かすれた声が聞こえた。 「俺、は、戻ら、な、い…もう、二度、と、あんな…」 おれは右足を上げると、そのまま由貴の腹の上へ下ろした。 「……………ぐっ!!」 「何か勘違いしてないか?これは命令だ」 「や…い、やだ。ぜっ、たい、戻ら、な、い」 右足に力を入れる。 由貴は両手でおれの右足首を掴み、必死で退けようとしている。 力を入れているのだろう。 顔が赤い。 「戻ら、な、い」 おれは由貴の腹から足を退けると、床に転がっている由貴の黒縁眼鏡を踏み潰す。 何度も、何度も踏み潰す。 原型がなくなるまで。 そして由貴の側から離れ、ハサミを持ってくると由貴の前髪を掴み、そのまま切った。 「命令だと言っただろう。お前の意志は関係ない」 切った髪の毛を由貴の裸の身体の上にばらまき、由貴を見下ろしながら宣言する。 由貴はおれの元から逃げ出したつもりでいるが、それは違う。 由貴の居場所はすぐに、分かった。 少しの間、由貴に自由を与えてやる事にしたのだ。 由貴の行動は逐一、報告を受けていた。 だから最近、由貴の周りをうろちょろしているヤツの存在も知っていた。 「そういえば、今日、お前が駅前で待ち合わせしていたヤツ」 途端に、由貴の瞳が見開かれる。 面白くない。 「アイツの面白い映像があるが、見るか?」 おれは由貴の返事を聞かず、机の上に置いてあるパソコンを起動させる。 ソイツのことを調べさせたら面白い事が分かった。 以前、晃がが由貴を連れて行った店でおれ以外にも由貴の事を見詰めていたヤツが居た。 やけにしつこく由貴を見詰めるその目が気に入らなくて、ソイツを襲わせた事がある。 言われて、思い出した。 その映像がこんなところで役にたつとは。 由貴はそれを見て、どんな顔をするだろう。 想像しただけでゾクゾクする。 おれは不安げな瞳で俺を見ている由貴に、パソコンの画面を見せてやった。 ソレを見た由貴の目が見開かれる。 パソコンの画面には、一人の少年が、数人の少年に犯されている場面が映っていた。

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