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第5話

相手にも都合がある。 理由がある。 俺は、そんな当たり前の事を忘れていたのだろうか。 絶対に飾って貰える、なんてただのエゴだ。 勿体ない、なんて…。 「花屋さん?」 「え…?」 「ボーッとしてましたけど、大丈夫ですか?」 しまった 仕事中だった 「大丈夫です。 えっと、お釣りですよね。」 チェッカーから小銭を確認しながら取り出し、もう1度確認をして君に手渡す。 君は心配気に俺を見たが、営業スマイルを張り付けると胸に抱いた花束を見た。 とても優しい目で。 「大切に飾ります。」 「え、プレゼントじゃ…」 「あ、僕の部屋に…。 殺風景で……」 「いやっ、すみません。 そう言う意味じゃなくて」 急いで頭を下げると、ゴンッと音と共に頭部に衝撃が走った。 「いっ、てぇ…」 「い、た…っ」 勢いよくぶつかったお互いの頭。 俺達は同時に頭を下げたらしい。 途端に吹き出した君の笑顔が、俺の心を捕らえた。 俺と君の出会い。

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