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第6話

「いらっしゃいませ。 あ、こんにちは。」 「こんにちは。 龍生くん。」 それから毎週木曜日に君──樹くんは店に訪れる様になった。 名前を知ったのは樹くんがこの店を訪れる様になって2ヶ月位経った時、たまたま店長が俺の名前を呼んだ時に名前が似ていると教えてくれた。 龍生と樹。 似ているね、と微笑む樹くんはやっぱり笑顔がよく似合っていた。 樹くんの注文は決まっておまかせの花束。 「今日は青いカーネーションがあるんですよ。 ムーンダストって名前で、花言葉は永遠の幸福。 今日はこれでどうですか。」 「綺麗。 お願いします。」 やわらかく目を細めた君とはすっかり顔馴染みだ。 花を束ねている間に世間話をするのももう慣れた事。 当たり前になった光景。 俺は、いつしか樹くんが訪れるのが楽しみになった。 樹くんの為にどんか花を束ねようか、考えるだけでワクワクする。 どんな顔で喜んでくれるだろうか。 なんと言ってくれるだろうか。 俺は樹くんに恋をしていた。

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