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第69話 新たな恋にチャレンジ

オレは下校して、寮の食堂で夕食を食べてから、自室に帰った。 スマホを確認したら、着信はなし。 反故にされると思ったけど、龍ヶ崎は約束を守ってくれるみたいだ。 風紀委員会のオレの仕事は書類整理という単純作業だが、量が多い。 なんかあったら、風紀がばらばらと集まってくるのはすごいけど。 事案をすべて文書化する作業は、けっこうハードだった。 些細なことも書面化すると、かなりの文章になるし。 中等部では生徒会にいて、1年時は補佐を、その後は書記を2年間務めた。 少人数で莫大な仕事量をこなしてたけど。 今、やれと言われても、出来ない。 体力もないけど、気力のほうががないと思う。 風紀委員以上に誘われたけど、生徒会のモチベーションを維持するのって、自分には出来そうにないので、高等部では生徒会にはいらなかった。 中等部卒業してからひまになって、のんびり過ごしてたのに。 また、拘束されて、自由時間が減ってしまった。 ますます、かわいい恋人から、遠ざかった感じがするなぁ。 セフレも浮気も二股もしない主義だったけど、龍ヶ崎とは契約セフレしてるし、浮気にはならないから、新しい出会いを求めても、いいんじゃないのかな?         週末以外の自由時間も手に入れたのだから、新しい恋に挑戦してみようかなぁ。 でも、親衛隊が出来てから、告白されることがなくなった。 自分から好みの子をみつけて、誘って、付き合わなければならない。 モーションをかけられるほうから、かけるほうに変わったわけで、なかなかハードルがあがった。 オレは障害があるほうが、燃えるタイプではない。 どちらかというと、面倒くさいのは避けて通るほうだ。 相手の言葉や行動に一喜一憂して、泣きわめいてすがりついたりは、もう、出来ない。 そんな恋はもうしない。 無意識にシャツの胸元をぎゅっとつかんだ。 それに気づいて、そっと手のひらを開いた。 「……かっこわりぃ」 と、小声でつぶやいた。            【 了 】

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