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 進級してすぐ元号が変わった。  今年のG.Wは誰しもが新時代の幕開けに浮き足立っていた。三十年の歴史に終止符を打ち、元号が改められたのだから無理もない。  令和は大型連休という恩恵をもたらし、大半の学生たちを五月病にした。そんな中数人の生徒は中間テストに備え、気持ちを勉強モードに切り替えている。  今日の昼休憩など教室を大きく分断した片側では金爆の「令和」を大合唱し、反対側では問題集を開いた生徒がイヤホンを耳栓代わりにする始末だった。 「進路か……」  合唱の輪に加わりはしないものの、槊葉もチーム五月病の一員だ。  はあ、と大きなため息がこぼれる。かばんの中から取り出したドロップ缶のふたを開け、ビー玉に似た水色のアメを無造作に口に放り込んだ。  先日の進路調査を思い出す。今年でセンター試験が廃止されるため、新しい試験方式に備え、早いうちに進路を決めろとしつこく言われたが、自分のやりたいことも興味のある分野もわからない。  時代のスピードに追いつけず、ただ焦りだけが槊葉の前に横たわっていた。

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