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 イライラしながら録画を中断すると、飲みかけのコーヒーを持った安藤が移動してきて、しれっと槊葉の向かいに座った。 「なんで座んの」 「槊葉とお茶したいから。なっちゃんラムネソーダお願い」 「はーい」  勝手に注文すんなと心の中で毒づきつつ、普段からラムネソーダ一択の槊葉は言い返せない。 「怒んなよ。リスみたいにほっぺた膨らませて、またアメ?」  断りもなく形のいい指で頬をするりと撫でられ、心臓がバウンドした。 (ななな何やってんの! 甘い! チャラい!)  この男は初めて会った時からこうだ。気安く話しかけてきたり、触ってきたり、勝手に下の名前を呼んだり。その上いかにも女ウケがよさそうな甘い顔立ちをしていてタチが悪いったらない。 「夏菜ちゃんに手出したらぶっ飛ばす」  小声ですごむと目の前の男が小首を傾げる。 「槊葉にならいい?」 「バッカじゃねえの!」 「お待たせ」  思わず足を踏みつけてやろうとしたところで、夏菜が注文していたラムネソーダを持ってきた。暗黙の了解で会計を安藤の伝票に加える。 BGMは『SAKURAドロップス』へと変わっていた。

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