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「別に今どき珍しくもな……」 「すごい! ちょっとしたストーリーみたいになってたし、効果音や文字の入れ方も凝ってて。それに色がすごく鮮やかで印象的だった!」  ちょっと前まで曇っていた安藤の表情が突然きらきらと輝き、大真面目に賛辞を贈ってくるせいで呆気にとられた。 学生時代の安藤は陰気だったんだなんて密かにほくそ笑んでいたのに、そんな自分が恥ずかしくなってくる。 「あ、ありがとな。じゃあハイ! こいつパス」  どうにも照れくさくなってビー玉くんを押しつけると、安藤は槊葉の指ごとそれを握った。 「動画できたら俺にも見せて」 「へ? あ、わ、わかった」 「楽しみ」  きゅ、と軽く力を込めた後、被写体を受け取った安藤の指が離れていく。 (な、なななんなんだよ! 甘い! チャラい!)  安藤はやっぱり安藤だ。どこも変わってなんかいない。  熱くなる頬を無視して槊葉は撮影を開始した。  動画はビー玉くんがドロップ缶の中から出てくるところから始まる。 小さな世界を抜け出して新しい世界に飛び込んだ彼は、知らない場所や人の中で新しい自分を見つけていく、というのが大まかなストーリーだ。

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